ChaboのFF11日記+(跡地)

IfritサーバでFF11をやっていたChaborinの日記でした。

書籍『電車男』には本当に編集がないのか?

http://d.hatena.ne.jp/http?//kotonoha.main.jp/2004/12/17trainboy.html
へトラバ。


電車男』には、ちゃんと編集がありましたよ。2ちゃんねらー向けのね。

2ちゃんねらーがこの本に飛びついた心理

あの本ほど2ちゃんねらー的な読者選別思想とコンプレックスをくすぐった本はないと思います。
なにしろ、大部分の2ちゃんねらーは、自分が2ちゃんねらーであることについてステイタスを持っていません。みんなこういうサイトを見て時間を潰すのをどこかで心苦しく思ってるんです。それはある意味中毒性のあるものだし、まして毒男板はマターリ馴れ合いが基本の板ですから。
だから、2ちゃんねらーでないと読めない、2ちゃんねらーでないと真の意味で楽しめないようなギミックが付いたモノに出会うと、矢も楯もたまらず飛びつきます。
なぜなら、そういったことができる本こそが、彼らが2ちゃんねらーであることを肯定的にできるものだから。そして、その部分をそのまま残したそれこそが、この本の編集行為の真実だと思います。

誰が編集したのか?

では、誰が編集したのか?という点が問題になります。
確かに、一般人には絶対に理解できない「ぬるぽ」「ガッ」ネタはカットされてましたものの、いわゆる出版社の「編集行為」がほとんどなかったに等しいのは事実でしょう。つまり、この本は書籍化以前の段階で「電車男まとめサイト」が編集をしてくれているのです


では、「電車男まとめサイト」は一体何を編集していたか?という点ですが。
その編集とは、いつも2ちゃんねらーが無意識的にやっている行為をあらかじめやってくれた、という点につきます。
つまり、本スレの書き込みの中から「荒らし・どうでもいい情報・ネタ疑惑」を徹底的に排除したことです。

2ちゃんねらーの『脳内フィルター』

当時の電車男スレは、別に電車男のために用意されたものじゃないわけなので、いろいろな相談者が平行して動いていましたし、全く別線の話もあります。また、「ループネタ」(いわゆる同じ議論が繰り返し発生する)といったような、もう二度と読まなくてもいいような情報が大量にあります。そういったものを、2ちゃんねらーは本スレから、いわゆる「脳内フィルター」で選別し、切り捨てて読んでいくわけです。
こういった試みは2ちゃんねるスレの中でも「本スレ」「雑談スレ」という二本構成にすることで、2ちゃんねるの内部で解決しようという試みがあるくらいです。もっとも、大抵は本スレで雑談が始まって、ぐだぐだになってしまいますが・・・
まとめサイトは、その「脳内フィルター」の役割を代わって実行したために、無意識で読みづらくなっていた本スレを取捨選択することなく読むことができるようになったのです。だから、2ちゃんねらーは疲れることなく電車男まとめサイトを読むことができます
これこそが、2ちゃんねらーにとっての編集です


ここで言う「編集」とは、エディタとライタの応酬がないという点で編集とは呼ばれないのかもしれません。通常の読者から見れば十分玉石混淆だと思われるかもしれません。
しかし、この行為は2ちゃんねらーにとっては十分「編集した」ことに値すると考えます。この情報以上を削ってしまうと、全くおもしろみのない本になってしまう。
その『おもしろみ』とはトラバ元サイトでも論じられている内容であり、その点はまったく同感です。

今週、妻が浮気します。』に足りないもの

一方で、先般出版された「今週、妻が浮気します。」本に決定的に足りなかった部分が見えてきます。それは、この2ちゃんねらー的読者選別思想をくすぐれなかった点と、このまとめサイトで行われるはずの『編集行為』がなかったことです。
確かに、もともとノイズが少ないOKWebでは、これ以上の編集が難しかったと思います。ある意味では、電車男』本と『今週妻が浮気します。』本の違いとは、2ちゃんねるとOKWebというソースの差からくる問題のような気もします。
とはいえ、これが2ちゃんねるのスレで同じ展開をしていたとしたら、ここまでシリアスになれる質問と回答の応酬があったでしょうか。それはまた別問題ですが・・・