システムによる統制と人手による管理の分界点
今回のアップデートで、いよいよMPK対策に本腰が入れられようとしています。
MPK対策
from FINAL FANTASY XI 開発チーム(2005/12/08)より:
http://www.playonline.com/ff11/information/1208.html
MPKって何なの?なぜ管理で取り締まれないの?
そもそもMPKとは何かというと、
- 大抵は安全なはずの場所(主にエリア境界)に
- その場に本来存在すべきでない{多数の|強力な}mobを
- 故意に引っ張り、
- 他のプレイヤーを危険に晒す
という行為です。
この行為は禁止されていますが、MPKだという直接の証拠を得ることは、1,2,4は簡単に証明できますが、3がほとんど証明できません。
なぜなら、実際に上記の行為をやった人が、この行為が故意であると表明しない限り、故意であるかどうかがわからないからです。
そして、3が証明できない限り、処罰することはできないのです。
もっと言うと、GMは上記以外の状況証拠だけでは処罰できません。なぜなら、FFXIには裁判所がないからです。
従って、MPKというのは非常に処罰しにくい行為であり、だからこそ、ユーザが常に不満を表明しているという状況が続いていました。
このことは、下記のように記述されています。
こうした過度の嫌がらせ行為について、GMチームでは事実確認に基づく対処を行っていますが、故意によるものか事故によるものかの判断は、会話ログやアクションログからだけでは難しい場合が多く、また当事者双方の意見が食い違う場合もあり、どちらか一方の主張のみで処分を決定することができない、つまり予測に基づいて動機を決めつけてしまうことはできないわけです。そのため、GMの視認によって実際に行為を確認できた場合が処分の中心にならざるを得ないのが現状です。
で、この状況を打破するため、今回■eがシステム側からの対策を打ち出したわけです。
システムによる対策は本腰か、逃げか?
私は、今回の修正を本腰を入れた行為と思って、歓迎しています。
この対策を施した衝撃は(見たろころ)結構大きく、いろんな方がコメントをされていますが、特に気になったのが
Porta Rosso FFXIさん のコメントです。
http://naojim.exblog.jp/3887436
プレイヤー間に求められるべきなのは、競合の中のモラル、混沌に塗れない最低限の秩序であって、その枠を超えた事象には手を出せないどころか、自浄していく手段さえないのです。
まず、規約を遵守して楽しんでいるプレイヤーが馬鹿を見るような「管理」そのものを見直すことが先決だと思うんですが。お願いしますよ。本当に。
です。
確かにおっしゃる通りなのですが、先ほど書いたように、この面倒なトラブルに対して線引きをする材料がないのと、この手のトラブルを裁くことをマニュアル化することが不可能だからこそ、管理不可能と言える部分ではないかと思います。ここを改善するためには人手を増やさなければならないし、人手といってもマネジメントできる人手、つまりFF11で言うところのSGMを増やさなければならないわけです。しかも、それらの行動には一貫性がなければならない。
システムと管理との関係は、mkg_bさんがid:mkg_b:20051129:p1のエントリーでも論じられています。
Lounge Programmers Killerさん: "無能"なのは管理ではなくシステムではないか。より
「狩り」と呼ばれている戦闘行為は経験値効率を求めて多くの敵を倒すのが目的ながら、かつ他人と揉め事を起こさないよう多くの敵を倒しすぎない必要もあるという二律背反性がありますけど、これを支えているのが晒しや PK といった「返り血」なわけです。しかしこの「返り血」は「他プレイヤーと共存してレベリングに励む」プレイヤーにしか効果が無く、ゆえに「RMT 目的のプレイヤー」や「迷惑行為が目的のプレイヤー」が出現したときに GM に泣きつかざるを得なくなっているのだと思います。
この脆弱性を放置しているのが MMORPG が軒並み「管理のレベルが低い」と言われる所以ではないかなと、つまり「GM が何もしないから運営がダメだ」というのは的外れな批判だなぁと思うのですが。
エントリー全部引用したいくらいですが、論点は、結局管理だけではどうにもならないという点です。
ここで出てくるMPKは、まさに他プレイヤーと共存する意識がないプレイヤーなわけで、この点を管理で云々することは前述のことから不可能です。最もやってはならないのは、実際にはMPKではない人(例えばトレインしちゃって逃げた人)をMPKとして処罰してしまうという、「冤罪」なのですから。これを1回するだけで、FF11というゲームに対する信用は崩壊してしまうと思います。だから、ぺーぺーGMにはどうしようもない。ゲームに対するマネジメントができる人材が極一部なのを考えれば、この判断は(作り手からしてみれば)無理もないと思います。
このはてなでも、はてなブックマークで発生する罵詈雑言(もちろん規約では禁止されていること)を「管理によって削除すべきだ」とか、「そもそもコメントを出さないようにしろ」とか様々な論調がありますが、対策は「あくまでシステムで」ということでした。
はてなブックマーク日記:はてなブックマークのコメント欄について より
g:hatena:hatenabookmark:20051122:1132638020
続いてコメント欄の閉鎖についてですが、現在のところコメント欄の閉鎖や制限を行う予定はございません。ただし、上記のような不適切な行為をより簡便に通知できる仕組みについては検討を行っております。
はてなは社員が15人しかいないような会社なわけですが、管理を強化すれば解決する問題として捉えるのであれば人手を増やさなければならず、また一旦増やしてしまうと際限がなくなっていき、やがては企業体力に影響してくる問題でしょう。