吟遊詩人の作曲がダメな理由:その2 〜MMORPG上の音楽著作権〜
ということで続きのエントリー。
吟遊詩人が作曲できない理由として、SWGの開発者インタビューとマビノギの作曲システムについての議論を掲載したのですが、具体的に落としていきたいと思います。
FFで吟遊詩人が作曲できない理由として考えられるのは、
といろいろですが、今回は『音楽著作権の問題』にフォーカスしてみたいと思います。
耳コピと著作権の関係
だらだらと駄文を書き連ねようと思ったら、実にお見事なまとめがあったのでリンク。
もふもふMML研究所さん:マビノギMMLの知識より:
http://mof2.hp.infoseek.co.jp/c.html
耳コピMMLについてまとめると、
BBS等への公表はアウト
楽譜の譲渡は最初に作ったのだけセーフ(コピペで大量生産するとアウト)
曲の演奏はアウトつまり基本的にはアウト
といった結論に辿り着いた
うーん、身も蓋もない。
MMORPGのプレイヤー自体が公衆なので、演奏するだけで即公衆送信をしているのと同等になってしまうわけですね。いわゆるJASRACで言うところの「ストリーミング送信」*1に当たるでしょう。
マビノギでは、自作曲演奏システムを「あくまでオリジナルな曲のものだ」としている*2けれど、実際にはそうでない楽曲を演奏している人もいるだろうし。。。マビノギやったことないから、どれくらいの割合かはわかりませんが。
え?自分で打ち込んで演奏するだけでもクロなの?
ということで演奏も黒なわけですが、マビノギの運営はどう考えているのでしょうか。
マビノギの作曲システムに関連する著作物の扱いについてより:
によると、著作権侵害で不利益を受けるおそれがあるケースのことを
1. ネクソンジャパン及びマビノギ公式サイト内のWebコンテンツや掲示板に、
ユーザー自らが作曲したものでない楽曲のMMLテキストを投稿・アップロードした場合
2. 原著作者の承認なしに、マビノギの作曲システムによって作成されたMMLテキストを、
他人に金銭的な利益を目的として販売する場合
3. 著作権を侵害する恐れのあるMMLテキスト及び関連ファイルを、
他者が運営するWebコンテンツや掲示板などに投稿・アップロードした場合
と定義してあるわけです。
だけど、この文にはマビノギのゲーム内で演奏することについては触れていません。しかしこれも厳密には黒なわけなんですよね... (´Д⊂
ただ、
この2点によって、この部分は事実上グレイゾーンと化していると思います。
JASRACの過去の対応などを見ると、事業者が主体となって音楽演奏をしている時には容赦なく徴収をしています*3が、事業者でないユーザが演奏している件については見あたりませんでした。ギャラが払われるわけじゃないので、ライブハウスとは同等でないし。このへんどうなんでしょうね。
ということで、例え耳コピだろうが稚拙であろうが、著作権に触れる曲を自分で打ち込んで「演奏する」という行為だけでアウトなわけですが、それどころか現行のJASRACの態度では*4、ゲームだろうが何だろうが、著作権に触れる曲を演奏できる環境があるだけでクロになってしまいそうな勢いです。ただ、まだJASRACが何も言っていないだけで。
JASRACが「ユーザが著作権侵害をしないという管理監督ができないんだから、包括契約結べ」とか言っちゃったら、どうにもならないんじゃないの?これ。掲示板でMMLを削除するだけじゃ駄目でしょう... むううううう。
調べれば調べるほど、こんなおっかないところに手を出したいとは誰も思わないわけで... あー、こわいこわい。
結論:音楽著作権界隈には恐ろしい魔物が住んでいる。求む勇者。
*1:「インターネットや携帯電話等 音楽利用の手引き 8.1th Edition」(http://www.jasrac.or.jp/network/contents/formalinfo.html), JASRAC 送信部ネットワーク課, 2005.7.
*2:http://www.mabinogi.jp/5th/3_free.asp...
*3:新潟の喫茶SWANの件:http://jam.velvet.jp/copyright-01.htm など多数