ChaboのFF11日記+(跡地)

IfritサーバでFF11をやっていたChaborinの日記でした。

MPK問題その2

Rossoさん、トラックバックと長文のコメントを頂きありがとうございました。
早速お返事したいと思います。でもめちゃめちゃ長くなってしまった...(´Д⊂


Porta Rosso FFXI:【FFXI】 自浄出来ない事情。 (12/9 fri.)コメント欄より:
http://naojim.exblog.jp/3887436/

実を言うと私は、MPKに限って言えば「ゲーム性に内包される一部の必然的要素」として捉えています。もちろん、MPKを肯定するわけではありません。故意(未必含む)にしろ過失にしろ、結果として生じたMPKは決して看過されるべきではないと考えます。

私もFPKやMPKといった、システムの脆弱性を突いた行動は看過できません。
しかし、FFXIが初期から、ある人が他人に対して害を与える行動を出来る限り排除しようとするシステムデザインである以上、そこではFPKやMPKは「あってはならない」行為であると考えます。つまり、MPKやFPKはゲーム性に内包されるべきではない。
確かに、今回のバージョンアップで「トレイン」もなくなってしまったわけで、結構寂しいです。安穏と過ごすレベル上げPTに対する脅威となる存在も必要だし、セルビナのトレイン警備隊も、全てこれらがあったからいたわけだし。
ただ、これらの行為は、あくまで『mobが人間に対して危害を加える』という原則から発生したわけで、これらのトレインが常套的に『人間が人間に対して危害を加える』手段となった以上、システム的にそれをできないようにするという方向付けもあって良いと思います。


その上で、

「何故、規約違反やインモラルな行為を繰り返すプレイヤーに対して、然るべきペナルティが課せられてこなかったのか」という点であり、多くのトラブルの根源を「プレイヤー間の衝突」であるとし、サービス開始から3年以上を経た今になってシステム変更で対応しようとする姿勢に疑問を感じるわけです。

時間経過の問題について。なぜ、3年も経過して初めてMPKという問題に対処したのかは私も疑問に思います。
マネジメント層の人材不足については、確かに企業の言い訳だと思いますので、前回のエントリーでしていた主張からは外したいと思います。これは明らかに遅速と言うべきでしょう。
この「なぜ3年も放置?」という点では私も感情的になってしまいますが、目の前の問題として、あくまで「管理強化」と「システム変更」のどちらを取るべきだったかという点は、これからの効果の話なので、別に検討していきたいと思います。

圧力の問題

今まではゲーオタの戯言として聞き流してきたクレームも、公的機関からのお咎めとなれば無視するわけにはいかず、「MPKが成立しにくいシステムへの改変」という、問題の本質をすり替えたスケープゴートを捧げることで「一生懸命対策してますよ」とアピールしているように感じられてならないのです。

何かの圧力によってこのタイミングで変更があったということは、私は今回のMPK問題の論点からは外しています。なぜなら、恣意的な感情が実際の成果を目隠ししてしまうかもしれないからです。個人的には確かに何かしらの圧力があったんだろうなあ、という気もしますが、同じような問題に直面しているRO側ではどうなってるのかなぁ、とも思います。このあたりは識者の方の意見を伺いたいです。


単純に、今MPKが減るのか減らないのか、そしてその副作用は何か。ユーザが得られる利点と、ユーザが失った副作用を天秤にかけて初めて、この変更が良いのか悪いのかを論じられると思うのです。

2つのアプローチ

MPKもそこから派生する諸問題の中のひとつであり、今更ゲーム性を損ねてまで強引に封じ込める前に、現状の体制において抑止力となる管理方法が執れなかったのか、ということです。言葉足らずでした。

そこには、状況証拠による見極めが難しく冤罪の可能性も増加する、それこそ「明確な線引き」が出来ないといった言い訳はあるでしょう。それでも、明らかに不適切な行為を繰り返しているアカウントが平然とプレイを続けているという現状は、単純に「おかしい」と感じて当然ではないでしょうか。

このMPK問題を解決するに当たって、MPKに対し最大の効果を上げるためにはどうすべきだったかを考えると、2つのアプローチが考えつきます。

  • (1)管理を強化することによって、MPK行為を的確に察知し、処罰を加えること
  • (2)システムを強化することによって、MPKができないようにすること


これらについて検討してみます。

管理を強化することについての検討

管理を強化することによってMPK行為を的確に察知する方法について考察します。
まず、MPK行為が通報されるのは、そのMPK行為が発生した直後です。そこからGMコールをしてN件待ち、実際に対応されるのは30-60分後という形となります。
今までの■eの発表などによると、実際に処罰を行う場合の証拠収集方法については、2通りの方法があります。

  • 現認による監視
  • 過去ログを遡ることによる監視


現認による監視は、あらかじめ現場でMPKが行われる可能性が高い状態であることを察知し、それから実際の現場を押さえなければわかりません。
例えば有名なMPKer(と目されている人物)を重点監視するか、HNMのPOPポイントで2組以上存在しているとか、そういう状況を捉える必要があるように思います。これはリスクが高いと思います。
次に、「行為を受けた人間でないとGMコールができない」という点。
これは当然の原則なのですが、予断をして捕まえることはできないわけです。
過去ログを遡る場合は、これがMPKであると本人が明言する以外に、本当にMPKかどうかは判断が付きません。
しかしここでは、「ジュワたこ部屋で多数トレインさせて死ぬ」とか、MPKであることが自明であるのであれば、過去ログだけで処罰することも可能ではないでしょうか。
この点については、管理強化策だけでも意味があると思います。


管理の強化というアプローチを取る場合、過去発生したポイント(例えばクロ巣入り口など)に定点観測カメラを設置しておき、MPKが発生したと通報があった際にプレイバックビデオのように判断する方法です。これは比較的有効な方法ではないかと思います。

システム面を強化することへの検討

システム面を強化することは、2つの弱点があります。
ひとつは、副作用が発生すること。もうひとつは、MPKerのやる気を失わせるわけではないので、新たなMPKの方法が開発される可能性があり、堂々巡りとなることです。
 『一網打尽』という意味では、システム面の強化というのは非常に効果があることだと思います。

今回の変更で良くなった点

  • {強力な|多数の}mobを率いてMPKができなくなった点
  • トレインがなくなり、狩り場の混乱が少なくなった点(賛否両論)
  • バインド・影縫いによるMPKができなくなった点

今回の変更の副作用

  • 獣使いが、生息区域外のmobをあやつって持ってくる時、かえれを使ってヒーリングができなくなった点

実際のMPKに対する処罰事例と、MPK思わしきコールの発生事例が何件あるかが公表されていないので、効果と副作用を比較することができないのが残念ですが、これを比較して、それなりの判断が後ろにあったのではないかと考えます。

論点の整理

  • 問題発生からの経過時間:『何故、規約違反やインモラルな行為を繰り返すプレイヤーに対して、然るべきペナルティが課せられてこなかったのか』という点。

経過時間からすると、もっと早く問題に対する対策を打たれても良かったと思います。

  • その間の『抑止力となる管理方法が執れなかったのか』という点。

ペナルティを課すことが現行の仕組み上難しかったと想像します。しかし、それはやり方一つで実施できるようにも思いました。

  • 『ゲームシステムによる強固な管理は、自由度や相互干渉といったMMORPGの魅力と反比例するという事実』という柔軟性の点。

そのゲームが目指すべきベクトルの問題だと思いますが、PKに対するルールの強化がFFXIゲームデザインであるのならば、その点が強化されるのは然るべきだと思います。

  • 『管理体制そのものに一貫した姿勢と前向きな取組みが見られず、常に企業としてのリスクマネージメントが先行した運営を続けてきた』点。

この点は私もそう思います。当初英語サービスが実施された時、英語GMと日本語GMの間で対処が違うような問題が発生していることを聞いたことがありますが、それが事実だとすれば、リスクマネジメントというのは「対ユーザとのマネジメント」という点でも項目になるわけで、それが軽視されているのは残念です。

まとめ

企業の論理や収支、経営的な観点からすれば、私の言い分はユーザー側の我侭に過ぎません。しかし、「オンラインにおけるモラル」の構築は、そこに集うプレイヤーだけの問題ではなく、サービスを提供する側にもその義務があるというのが私の考えです。
その義務をシステムによる縛りで果たすのか、人的運営において対応していくのか、そのバランスはサービス側(=企業)の意識次第でしょう。ただ一つ言えるのは、ゲームシステムによる強固な管理は、自由度や相互干渉といったMMORPGの魅力と反比例するという事実です。

それは脆弱性、ひいては社会の不完全性に根差した問題とはまた別のものだと思うのですが、いかがでしょうか。

私は、オンラインによるモラルを管理によって統制する方法には限界があると思います。
MMORPGは一つの社会であるというのが私の考えですが、そこでは様々なルールが定められています。あれをしてはだめだ、これをしてはだめだ、そしてこの「だめだ」をできるだけ減らすことが、今までMMORPGに求められてきたことだと思います。
例えば、私が最初にやったMMORPGである初期UOは、本当に何でもすることができました。生産に戦闘にPKももちろんやれるし、FB連射やら箱による移動妨害やら、開発者の思わぬ方法で対人戦闘に没頭する人々がいっぱいいました。
私は最初、このMMORPGという世界はTRPGという世界をコンピュータ上に持ってきたような理想郷だと思いました。なにしろ、やりたいと思えることを何でもできる世界。*1実際「ロールプレイ」という意味ではこれ以上にない環境。
この自由度こそが、MMORPGを社会たらしめる要素だと思います。


しかし、それでは人対人にも軋轢ができてしまうので、それをできるだけやらないように仕向ける方向のゲームとなっていきました。UOも、UOルネッサンス以降はそうなっていると聞きます(私はT2Aまでで、トラメルとフェルッカが出来た時には既にUOはやってませんでした)。
かつてのUOでは、それは人対人というよりも、ロールプレイとロールプレイのぶつかり合いでした。PKと一般人の戦いでも、効率だけを求めた残忍なハメだけでなく*2、正々堂々とDuelと呼ぶのにふさわしいくらいの誇りをお互いに持っていたものです。このような私のMMORPG観は、大昔のUO日記:PKとの戦い*3 の時に決定づけられました。
しかし、次第にMMORPGの登場人物が『操作する人』そのものになっていったために、軋轢として浮かび上がってきてしまったように思います。とても残念なのですが・・・


他人と軋轢をなるべくないようにする。その軋轢を生むことに対し、しっぺ返しが来るようにして、そもそもやる気を起こさないようにしむける。
FFXIは、まさにこの点に『システム的に』気を遣って設計されたゲームだと思います。それが故に、なかなか実際の問題を認知できない管理体制でもあったと思います。
従って私は、今回のルール改定は、そのゲームデザインからすると正しい対処の方向だと思います。


めちゃめちゃ長くなってしまいましたが、こんな感じです。

*1:こんなこと書くとTRPGだってシナリオあるわけなので何もわかっちゃいないとか思われますが・・・

*2:そりゃFB連射とかありましたけど...

*3:http://chaborin.on-air.ne.jp/Chabo/uodiary.htm#19980403_02 。こんなカッコイイPK、今に至るまでこの1回しか出会ってないけどね